毎年、全国のどこかを突然襲うかもしれない豪雨災害。浸水家屋の復旧作業は大変だ。家具と床上、床下の土砂を掃除して、乾燥させ、一安心。「そう思っていたら取り返しのつかないことになる場合がある」と、信州大学工学部で建築環境工学を専攻する中谷岳史助教(44)は注意を促す。盲点は「壁」だ。
7月末、中谷さんは秋田市内で被災した友人の佐々木順子さん(43)宅を訪ねた。15日の豪雨で、新築してまだ6年の家が床上50センチまで浸水。床や床下の掃除にやっと先が見えてきた頃だ。中谷さんは、汚れが拭き取られてきれいになった室内壁の石膏(せっこう)ボードの一部はがして中を調べた。
2週間経っているのに、グラスウール製の断熱材はたっぷり雨水を含み、柱や床板、土台と家をつなぐボルトなどをぬらしていた。絞るとジャーっと水が流れ出た。
「このまま放置すると、建物の構造で重要な部分が腐食して菌類が繁殖しますよ」
家の傷みが広がる前に
すでに階段下付近の壁はカビ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル